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山梨大学医学部神経内科学講座 平成20年10月1日より神経内科学教室を担当させていただいています。初代教授の塩澤全司先生が山梨に神経内科の芽を植え付け、育て上げてこられた教室を更に発展させるべく努力していきたいと思います。 |
診療
現在、神経内科としては13床ですが、病床利用率は120%を越えています。
脳血管障害、脊髄小脳変性症・筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン病・アルツハイマー病などの神経変性疾患、重症筋無力症・ミオパチーなどの神経筋疾患、脳炎・髄膜炎などの炎症性疾患、多発性硬化症・慢性炎症性脱随性多発根神経炎などの脱随性疾患、頭痛・めまいなどの機能性疾患などあらゆる種類の神経疾患について、外来・入院診療を行っています。
さらには、家族性CJD、家族性アミロイドニューロパチー、神経フェリチノパチーなどまれな疾患も経験しています。
現在新しい発症はありませんが、私にとっては学生時代に習っただけの日本住血吸虫症の患者さんにも遭遇しました。
このような患者さんについて、教授回診、各担当医グループ回診、症例検討会などで真剣に議論して診断や現時点で最良の治療方針を決定しています。
さらには関連する他科とも良好な連携を取り、診療を行っています。
これまで教室に在籍されていた先輩や現在在籍中の先生が、県内10カ所以上の病院・診療所で神経内科の地域医療を支えておられます。
このように病病連携、病診連携も密接な関係が保たれています。
また、行政や福祉との連携も良く、神経難病の患者さんなどの支援も積極的に行っています。
今後も山梨県の神経疾患の患者さんと家族の希望と支えになるように努力したいと考えています。
神経内科専門医の育成
「近未来医療の宝」である医学生・若手医師を、将来の神経学・神経内科診療を担う「常に学ぶ姿勢のある誠実で温かみのある医師」へと育てることは当教室の最も重要なテーマだと考えています。そのために、当科のスタッフ・医員が親切に指導に当たっています。
私は、神経疾患の診断にはクラシカルなニューロジーが最も大切だろうと思います。もちろん、画像や神経生理などの補助検査も必要ですが、最初からこれらに頼るのではなく、やはり、きちんと病歴を取り、神経学的所見から解剖学的病変を考えて、診断へのプロセスをたどることが重要だと思っています。病歴を上手に取ることは診断を60~70%可能にすると言われていますが、私もその通りだと思います。
卒後、臨床研修歴6年を経た7年目には日本神経学会神経内科専門医試験が受けられます。これに向けた研修プログラムは別に示しますので、ご覧下さい。専門医資格が必ず取得できるように、当科のスタッフが責任を持って丁寧に指導に当たります。
神経内科の対象疾患は非常に多く、神経疾患は治らないと言われた時代はもはや過ぎ去りました。最近の目覚ましい進歩により、神経疾患の分子レベルでの病態機序が明らかになり、新たな治療法が次々に開発されています。また、日本は高齢化社会に突入しており、神経内科医の需要は急増しており、神経内科医が活躍できる場は枚挙にいとまがありません。
研究 臨床に根付いた研究を行い、その成果を患者さんに還元できるようにするのが、臨床家の努めであると思います。これまで当科では塩澤前教授のご指導の下、マイクロニューログラフィーを人体に応用して、これにより交感神経を直接記録することにより、他がなし得なかった神経疾患の病態解明を行ってきました。 |
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